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2017年3月12日

テロ等組織犯罪準備罪(いわゆる共謀罪)は要りません

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

 

この法案は異常な監視社会をもたらすもの

過去3度、廃案になった「共謀罪」が「法整備できなければ東京五輪を開けないといっても過言ではない」として出されてきました。

現行の法律ですでに、内乱陰謀罪や私戦陰謀罪等など、企むだけで罪を問えるテロ関連の法律は整っています。これら殺人やハイジャック等の重大犯罪については「予備罪」の規定があり、準備段階で摘発できるのです。共謀罪とは簡単に言えば「二人以上の者が、犯罪を行うことを話し合って合意する罪の事」です。犯罪行為を計画すらしていなくても、「『よし』と合意した」と取締当局側が解釈すれば罪になるというものです。

また、戦前の治安維持法成立以降の歴史を思い返した時、とても同類の法律を容認できるものではありません。あの時代、自由主義的な研究や言論、宗教団体の教義や信条も処罰対象とされ、令状なしの捜査や取調べ中の拷問・虐待が横行し虐殺された負の歴史を忘れることはできません。

 

治安維持法も「一般の人は対象にならない」から始まった

治安維持法の時にも政府は「一般の人々は関わりがない法」と説明していました。しかし対象は瞬く間に拡大され、一般人も対象となりました」。

同法の当初の目的は、国体変革や私有財産制度の否認を目的とした結社の取り締まりでしたが、成立から3年後、最高刑は「懲役10年」から「死刑」に引き上げられ、「目的遂行罪」も導入されました。

「その目的を遂行するのに資した」と、法解釈に幅を持たせて国民を制圧した悪名高い治安維持法と今回の共謀罪とどこが違うというのでしょうか。

治安維持法は宗教団体なども標的としました。例えば創価学会です。1943年7月、「伊勢神宮の神札を祭ることを拒否した」として、初代の牧口常三郎会長は戸田城聖とともに不敬罪と治安維持法違反の容疑で逮捕されました。

この時期、日本の宗教団体は弾圧を恐れてこぞって軍部に屈していましたが、牧口常三郎は最期まで転向することなく、老衰と栄養失調のため巣鴨拘置所において1944年11月18日に無念にも獄死させられています。

この歴史を繰り返してはなりません。

 

「テロを起こしたい人が反対している」のか

共謀罪は、テロに関連する罪以外の犯罪を含んでおり、取締当局の解釈いかんで市民の活動などでも逮捕できる可能性があります。

また準備行為は具体的に何を指すのか明確なものではなく、取締当局にとって都合のよい幅広い解釈が可能な余地があります。法に触れるか否かを判断するのは、あくまでも取締当局側です。要件が曖昧だった治安維持法の「目的遂行罪」と類似していると言わなければなりません。市民誰もが対象になる極めて危険な法律です。

テロ等組織犯罪準備罪と名称こそ変わっていますが、「等」の部分により拡大解釈は依然として可能となっています。

治安維持法では、最初は犯罪の対象範囲を絞り成立後に拡大するという手法が取られました。歴史を振り返った時、「あれは戦前の話。現代ではあり得ない」と本当に言い切れるのでしょうか。

 

法の基本原則を否定するもの

犯罪が成立するには、具体的に犯罪行為に着手したり、被害が生じたりした場合に限られることが基本です。しかし共謀罪では、複数の人が犯罪を行うことを話し合って「合意」したと取締当局が解釈によりみなされてしまえば、罪に問われることになります。

加えて、通信傍受の対象犯罪の拡大と共謀罪が結びつくと、テロ対策の名の下に市民の会話や通信は監視下に置かれ盗聴され覗き見されます。市民の会話や通信が共謀罪により摘発の対象となる可能性があり、憲法の保障する思想・良心の自由、表現の自由、通信の秘密及びプライバシーなどを侵害して社会を委縮させてしまいます。

刑法の基本原則を否定するもの、罪刑法定主義にも反するものです。共謀罪は要りません。

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