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2017年5月2日

憲法記念日を迎えるにあたって

神奈川県生活協同組合連合会
代表理事会長 當具 伸一

 

日本国憲法は1946年11月に公布、1947年5月3日に施行されました。70年を迎えます。

「基本的人権の尊重」、「国民主権」、「平和主義」の三大原則を掲げた現在の憲法は、悲惨な戦争を経験した戦後日本のあり方の基本を明確に示すものであり私たちのくらしの土台となりました。

 

振り返れば、これまでも憲法を巡る論争はありました。それは、世界における日本の立場や国民意識の変化を反映するものでした。

今、改憲問題は新たな段階に入ろうとしています。憲法の手直し論議自体は自然なことです。

ただ気になる点があります。それは憲法に対する冷笑的な態度、無理解が蔓延っているように思われることです。

この間の出来事を見ても、多くの法律家が「違憲」とする中、集団的自衛権行使を容認し、自衛隊の海外での任務を大幅に拡大する安全保障関連法を成立させました。これまでの憲法解釈を強引に変更して憲法9条の歯止めをあっけなく外してしまいました。立憲主義とは何なのでしょうか。

また国際NGOの国境なき記者団による「報道の自由度ランキング」で調査対象の180カ国・地域のうち72位、先進主要国7カ国中では最下位という報道の自由の状況があります。

 

現行憲法は、「敗戦」の産物です。「戦争ほど、残酷なものはない。戦争ほど、悲惨なものはない。」戦争を体験したすべての国民の実感でした。

日本が起こした戦争は、アジア2,000万人にのぼる犠牲者を出し、310万人の国民の犠牲者と社会の荒廃、暮らしの困難をもたらしました。その事への強い反省、復興と再生への思いが現行憲法につながっています。

戦前の日本は国民の思想を取り締まり、自由を窒息させ、戦争で多大な犠牲を強いました。国民はそんな社会には二度と戻らないという決意と希望をもって現行憲法を迎え入れ70年間育んできました。

そこで取り入れたのは、近代国家のよって立つ原理です。憲法は権力を縛る鎖、国民を守るもの、国家は倫理や道徳など個人の内面に立ち入らないという考えです。  

私たちのくらしにおいても、雇用不安や格差の拡大で生活を脅かされる人が増えています。基本的人権の確立は道半ばです。憲法の価値体系を全面的に変えるような改憲案を示すより、積み上げてきたものを更に拡充させる努力をすべきではないでしょうか。

 

日本国憲法は日本の歴史で初めて、個人の尊厳が日本の国家法秩序において最も大切な価値であると宣言しました。これは、自分が自分でなくなることを恐れること、かけがえのない自分という個人を大切にすることです。

この大前提に立って、憲法は、人権の面では「生命、自由および幸福追求」に対する国民の権利を保障しています。次に立法・行政・司法といった国家の統治機構の面では人権の保障が名目だけのものにならないように、国民主権の下で立法・行政・司法の三権を分立させています。

さらに平和主義の面では国民の生命や自由や幸福が戦争で奪われてはならないということから、「戦力を持たない、その代わりに国民の安全保障を確保するために世界のいずれの国とも友好関係の輪を広げ、深めていこう」という国際協調主義を謳っています。

憲法記念日を迎えるにあたって、憲法は国民一人ひとりの人間としての尊厳を守るためにあることを認識し、私たちもその価値を大切にしていくことを確認します。

 

憲法の議論にあたっては、「基本的人権の尊重」、「国民主権」、「平和主義」の三大原則を堅持しながら、多くの国民から理解を得られるものにするべきです。

 

与野党には、憲法の持つ意味と重さを正しく受け止め、時間をかけ熟議を重ねることを求めます。

また言論・表現の自由は、民主主義を支える基本的な権利のはずです。それを制限、軽視するような言動は容認できません。報道機関には萎縮することなく、権力監視という本来の役割を果たすことを改めて求めます。

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