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2018年1月25日

「消費者教育の推進に関する基本的な方針」の変更案に対する意見

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

消費者教育の推進については、既に国民生活審議会の前身である国民生活向上審議会から1963年に出された「消費者保護に関する答申」において、一般消費者への消費者教育と学校教育における消費者教育の強化が謳われています。以来、月日は経ち消費者を取り巻く環境が大きく変化する中でも、「消費者教育の推進」は消費者行政において遅々として進んでいない課題でした。

消費者行政の考え方が「消費者保護」行政から「消費者支援」行政へと転換が図られ、2004年の消費者基本法においては、消費者自立を支援するための消費者教育が「消費者の権利」として明示されながらも、学校教育における消費者教育の現実は、事業時間の制約などを理由として、なかなか改善されていません。

以下、消費者教育の推進を心から願う立場から意見を述べます。

 

1.取り組みの推進のために、取り組めていない事例をたくさん拾って、課題を抽出してください。

この方針においては、地方公共団体の役割や様々な場における消費者教育が記述をされています。神奈川県はもちろん全国に「消費者教育推進地域協議会」が設置され活動していることになっていますが、その内容が把握できているか疑問です。ぜひ取り組みの推進のためには、「活用する」となっている消費者教育推進地域協議会の率直な状況把握と課題の抽出をしてください。

同様に、消費生活センター等を消費者教育の推進拠点とするためには、消費生活センターの状況について、特に小規模自治体の状況把握を行ない課題の抽出をしてください。取り組めていない事例をたくさん拾う中でこそ現実に即した、地域格差を作らない取り組みの方針が生まれます。

 

2.社会教育との関連での位置づけが必要です。

教育基本法では、教育の目的に「人格の完成」と「心身ともに健康な国民の育成」を掲げています。この教育は、行われる場によって、家庭教育、学校教育、社会教育に分けられます。社会教育とは社会の場において行われる教育のことで、「人づくり」「地域づくり」「つながりづくり」が柱となります。

消費者教育は、国民の一人一人が自立した消費者として、安心して安全で豊かな消費生活を営むために重要な役割を担うものであり、地域社会の受け手の立場からいえば、「これはこれ、あれはあれ」的な方針ではなく、社会教育との関連での位置づけが必要です。

 

3.方針を推進していくための裏付けは予算です。

「消費生活相談員について、その資質の向上のために適切な処遇等の措置を講ずることが期待される」との記述は理解し同感しますが、地方自治体において消費者行政は重要優先課題とはなっておらず、消費者行政の自主財源獲得が難しい状況の下では、いくら素晴らしい国の方針が出されても「絵に描いた餅」にしかなりません。推進のためには、国による消費者行政推進交付金などの財政支援は不可欠です。

しかしながら、今回の変更案では、現行の方針にある「国からの必要な財政上の措置等」としての記述が削除されており、財政支援をしない考え方となっていますが、推進する方針である限り裏付けとなる予算は必要です。

 

4.消費者行政の推進には行政と消費者団体の両輪が不可欠です。

自ら考え行動する消費者や消費者教育の担い手を育成する主体として、地域の消費者団体の育成を支援することも重要」との記述がありますが、これまでも消費者団体との連携や消費者団体の育成は修飾語以上のものではありませんでした。

消費者教育では「適切な行動に結び付けることのできる実践的能力」の育成が必要としており、これは実践性を重んじて行うべき性格のものです。

消費者団体は、社会教育の役割をはじめとして様々な公益的役割を果たしていますが、一方では組織活動の維持においては、財政面・人材面で苦しい状況にあるのが率直な事実です。消費者教育の推進、消費者行政の推進は行政単独では出来ません。行政と消費者団体の両輪が必要との観点から消費者団団体との連携や育成が実際に前進できるような方針が必要です。

 

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