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2019年5月8日

「改元」でリセットがされる訳ではない
〜東京電力福島原発事故は何も終わっていない〜 !

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

 「改元」の直前の様々な昭和の振り返り特集で気になることがありました。それは、民放もNHKも、情報番組やワイドショーにおいても殆どが原発事故を明らかに避けていたことです。

この原発事故は当事者である福島第一原発の吉田昌郎所長(当時)がいったんは「東日本壊滅を覚悟した」と回想したくらいの危機的な状況だった筈です。復興庁発表の東日本大震災の関連死者数(2018年9月30日現在)が1都9県で合計 3,701 人、うち福島県は2,250人。避難者数(2019年4月9日現在)が、全国47都道府県に47,892人。うち 自県外への避難者数は、福島県から31,908人と、多くの人々がこの原発事故の影響で故郷を追われ、避難生活を強いられています。この避難者数にしても、政府が「避難者」の定義を変えて、「避難者数」が少なくなるように操作していると指摘がされている数字です。

 

そんな重大事故を「平成振り返り企画」が不自然なくらいに避けまくっていたのは何故なのでしょうか。2020年のオリンピック・パラリンピックに関係があるとしか考えられません。

2015年に閣議決定した「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」では、今回の五輪を次のように位置付けています。

「復興五輪」・日本全体の祭典

大会の開催により、世界各国からアスリート、観客が日本に集まり、海外メディアにより広く報道され、世界の注目が日本に集まることになる。この機会を国全体で最大限いかし、「復興五輪」として、東日本大震災からの復興の後押しとなるよう被災地と連携した取組を進めるとともに、被災地が復興を成し遂げつつある姿を世界に発信する。

また、こうもあります。

「東日本大震災の被災地の復興を後押しするとともに、復興を成し遂げつつある被災地の姿を世界に向けて発信することは、この大会の大きな目的の一つである。被災地の方々の声を十分に聴きながら、被災地を駆け抜ける聖火リレー、被災地での大会イベントの開催や事前キャンプの実施、被災地の子どもたちの大会への招待等について取組を進めるとともに、被災地における取組を世界に伝えていくことを通じ風評被害を払拭し、産業面を含めた着実な復興へとつなげる。」と。

 

東日本大震災から8年が経ち、どれほど復興が進んだのでしょうか。NHKが行った岩手・宮城・福島の被災者に対するアンケートによれば、6割近くの人が「五輪は被災地の復興の後押しにならない」と回答したと報じられています。ゆっくりとしか進まぬ東北の復興に比べ、東京では東日本大震災など無かったかのような開発ラッシュの状況です。「復興」は「だしに使われた」も同然です。そもそも、復興など不可能な地域があることを忘れてはいないでしょうか。

 

2013年9月のオリンピック招致最終プレゼンテーションで、首相は、福島第一原発の影響について「私が安全を保証します。状況はコントロールされています。」と発言し、各国メディアとの質疑では、「(汚染水漏れは)まったく問題ない。新聞のヘッドラインではなく、事実を見て下さい。汚染水の状況は、福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメートルの範囲に完全にブロックされています。」と明言した。更に、「(福島原発事故の)健康に対する問題は、今までも、現在も、これからも全くないということは、はっきりと申し上げておきたいと思います」とまで内外記者会見で断言してしまいました。

 

(公社)日本経済研究センター」は、福島第一の事故処理費用が今後40年間に35兆〜80兆円に上る可能性があるとする試算結果をまとめ、公表しています。

東日本大震災は、地震と津波の怖さを教訓として残し、地震列島・活断層列島の上にある原子力発電所の立地不合理性を突き出しました。

誰がどう考えても、「平成1番の大事故は東京電力福島第一原発事故」ではないでしょうか。

 

原発事故は、収束していません。メルトダウンして溶け落ちたデブリの全容は未だ把握出来ておらず、仮に取り出せたとしても、保管方法も決まっていません。高濃度の放射性物質は今も上から下から漏れ続けています。空気、水、土、海、食物など人が生きる基本となるすべてが、この原発事故の放射能によって、今もなお深刻に汚染されています。福島だけの話ではありません。

安全神話の時代に逆戻りさせてはなりません。

 

原子炉施設や放射線医療施設などで3ヵ月に1.3ミリ・シーベルト(mSv)(5.2mSv/年)または40,000bq/m2を超える恐れのある区域は、「放射線管理区域」として指定されています。そこへの立ち入りは厳しく制限されています。子どもたちが立ち入ることや飲食は禁止されています。しかし、政府は、「放射線管理区域」指定レベルのおよそ4倍、年間20ミリ・シーベルト(20mSv/y)までの汚染地域へ人々が帰還し居住するように促しています。  

原発事故後、福島県で実施されている小児甲状腺検査において2018年3月までに「甲状腺検査サポート事業」で医療費を受給した患者233人のうち、手術後に甲状腺がんではなかった5人を除くすべてが甲状腺がん患者であり、検討委員会のデータと合算すると273人となっていると報告されています。通常、放射能の影響がない場合、小児甲状腺がんの発症率は極めて稀で、年間でおよそ100万人に1人です。しかし、政府は放射能との関連性を否定しています。放射能による被ばく(特に内部被ばく)は、ガンや白血病だけでなく、血管、心筋、脳神経細胞など様々な形で人間の主要な臓器の細胞の壊死または細胞の損傷を引き起こします。原発事故以降、心筋梗塞、心不全、突然死、脳卒中、アルツハイマー病の急激な増加が報告されています。多くの避難者の家族、友人、親類、知人が、福島原発事故によって病に倒れています。その人数はなおも増えています。

 

既に解決したかのように、しかし解決したとも言えず無かったことのように振る舞う政府と追随するメディア各社の姿。

 

声を大にして言いたい。

「改元」してその渦の中で原発事故を無視することは人倫にもとると。

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